うつ病
うつ病とは
うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、 眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある病気です。うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気だと考えられています。これらの神経物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気力で憂鬱な状態になってしまいます。ですから、うつ病は決して怠けているわけでも、気の持ちようで何とかなるものでもありません。
16人に約1人がかかる病気です
日本では、うつ病は生涯のうちに約16人に1人が経験するという調査結果が出ています。うつ病は珍しい特別な病気ではなく、だれでもなる可能性がある病気なのです。早めに適切な治療を受けることが必要です。
原因となるものは
精神的ストレス、身体的ストレスなどが指摘されることが多いですが、辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事にも発症することがあります。また、体の病気や内科治療薬が原因となってうつ状態が生じることもあります。
こころとからだのどちらか、または両方に様々な症状が現れます
<主な症状>
こころ
気分が落ち込む 何をしても楽しくない 興味がわかない むなしい
悪い方へとばかり考える イライラ感がつのる
からだ
寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、早朝に目がさめる 疲労、倦怠感
食力減退、体重減少 頭痛 肩こりや背中の痛み 喉の渇き 便秘、下痢
からだの痛み
うつ病の症状は、初めのうち、こころの不調ではなく、体の不調や行動の問題として現れることがほとんどです。食欲や睡眠に現れるだけでなく、体がだるい、生気がない、頭痛、めまい、吐き気といった体の症状、引きこもりやリストカット、暴力や攻撃的な行動などとして表現されることもあります。また、うつ病の症状は、朝が一番悪く、午後から夕方にかけて改善してくることがよくあります。朝、なかなか起きられず休んだものの、午後からは具合が良さそうに見えると、周囲からはさぼっているだけに見えるかもしれません。
治療について
治療の前に
うつ病の治療を考える前に、まず、心身の休養がしっかり取れるように環境を整えることが大事です。精神的ストレスや身体的ストレスから離れた環境で過ごすことで、症状が大きく軽減することもあります。整った環境で過ごすことは、その後の再発予防にも重要です。
薬物療法
主な治療薬は抗うつ薬です。落ち込んだ気分を和らげ、睡眠リズムを改善する効果を持つ抗うつ剤を中心に、必要に応じて、不安感を和らげる抗不安薬なども使います。抗うつ薬は、継続して服用する必要があり、服用を開始してもすぐに効果が現れません。主治医の指示に従い、自分の判断で薬の量を増やしたり減らしたり中断したりせず、焦らずに服用を継続してください。
精神療法
指示的精神療法と呼ばれる基本的な治療法に加えて、認知行動療法や対人関係療法などのより専門的な治療法があります。
しっかり治療することで症状は改善します。早めに適切な治療を受けることが大切です。